tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

盛り上がりを欠く研究開発投資

2019年04月21日 20時45分04秒 | 科学技術
盛り上がりを欠く研究開発投資
 一昔前では考えられないことでしたが、スマホの5G化に関わる分野などで、中国や韓国の技術が日本を凌駕しているのではないかと思われるような事態が見られます。

 元はといえば、日本が超円高で長期の深刻な不況に苦しみ、就職氷河期と言われる中で若い人材がまともな仕事に就けず、運よく新卒一括採用で就職出来ても、企業は教育訓練費を大幅に削り、人材育成に手抜きをせざるを得なかったことも大きいと思います。

 また、高度な技術を持った中高年の人材が、人員削減や早期退職の憂き目にあったり、企業に残っても、賃金やボーナスのカットでアルバイトをしなければならなかったりして、結果的に韓国、中国の企業で働く事になって技術移転が実現したといった面もあるでしょう。

 しかし、円高が解消してすでに数年なります。日本企業の内部留保が空前の規模になっているという事はよく指摘されますが、その割に先端分野の研究開発がなかなか軌道に乗らないといった状況が見えています。

 研究開発分野で資金不足のため、外国資本の傘下に入ったJDIのような話も聞かれるところです。
 資金力の問題なのか、人材の育成・先端技術水準の遅れなのか、現場の実情はわかりませんが、何か日本の研究開発のエネルギーが弱まっているように感じられてなりません。

 そんなことで、日本の研究開発費について見てみますと、やはり、些か元気がないような現実が見えてきます。
 日本の研究開発費総額は、総務省の「科学技術研究調査」が調べています。この調査で2007年からの日本の研究開発費総額の推移を見てみたのが下図です。


総務省:科学技術研究調査

 一見してわかりますのは2013年以降急回復した日本経済ですが、研究開発費総額は10年前とほとんど変わっていないという事です。

 世界に目を向けますとOECD調査による各国の研究開発費は、図は省きますが、2015年でアメリカが5000億ドルでトップ、中国が2位で、4000億ドル、3位が日本で1700億ドルです。中国は2005年以降10年で4倍に増え、韓国は金額は少ないですが同2倍に増えています。
 何か日本の研究開発の元気のなさが見えるようです。

 なぜこんな状況になっていなっているのか、十分に検討する必要のある問題ではないでしょうか。かつて不況のどん底のころ、3K職種(きつい、汚い、危険)が、勘定科目の交際費、広告費、教育訓練費に変わって削減の対象たことがありましたが、この中の広告費が抜けて、代わりに研究開発費が入ったのでしょうか。

 冗談はともかく、最大の研究開発活動が企業である(研究開発費の7割強)ことを考えれば、日本企業も経営行動に変化が起きてるのかどうか、大変気になるところではないでしょうか。

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